長野県立木曽病院マスコットキャラクター きそっぴい

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長野県立木曽病院地方独立行政法人 長野県立病院機構長野県立木曽病院

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薬剤部

薬剤部長のあいさつ

 病院において薬剤師の求められることは、非常に幅広くまた専門的になってきています。チーム医療の中でも必須のメンバーになってきており、他職種や患者家族からも大きな期待をされています。医師の働き方改革で超過勤務の上限規制が開始となるのが令和6年4月で1年後に迫っています。薬剤師はチーム医療や医師の働き方改革のタスクシフト/シェアに対しても役割を発揮できるよう努めます。
 また、病院の中のチームにとどまらず、地域、在宅まで含めた「連携」活動が求められ、保険薬局との連携についても推進していきます。

(令和5年4月 伊藤陽一)

調剤業務

調剤業務の写真

医師の処方箋に基づいてお薬を作ることを調剤といいます。患者さん個々の状態に合わせて、おくすりの量や服用方法、使用方法が正しいか、飲み合わせに問題はないかを確認してから調剤を行います。
外来患者さんや退院する患者さんには、お薬の作用や注意事項が記載されたお薬の説明書をお渡ししています。

院外処方箋について

当院は院外処方を推進し、外来を受診した患者さんのお薬は原則として院外処方箋を発行しております。「院外処方箋」は診察終了時に各科外来でお渡ししますので、保険薬局へお持ちいただき、お薬をお受け取りください。

  • 院外処方箋の有効期間は、発行日を含めて4日間です。有効期間を過ぎた処方箋は無効となりますのでご注意ください。
  • 院外処方箋の再発行等の手続については、受付窓口にご相談ください。なお、再発行の場合は別途料金をいただく場合がありますので、あらかじめご了承ください
  • 院内中央ホールに木曽薬剤師会でFAXを設置しておりますのでご利用ください。

電子処方箋について

当院では令和5年8月29日より電子処方箋の発行に対応しています。
電子処方箋とは「処方箋」を従来の紙ではなく、デジタルデータで運用する仕組みのことです。患者さんに同意いただければ、全国の医療機関・薬局における過去3年間の薬剤情報と、直近での処方・調剤結果を参照できるようになります。さらに重複投薬や併用禁忌の確認機能も提供され、安全で効率的な医薬品の使用を行うことができます。
電子処方箋を利用すると、転居などで生活環境が変わった時や、災害などの緊急時でもクラウド上に保存された過去の薬剤情報を参照することで継続した薬物治療を受けることができます。
木曽郡の多くの調剤薬局が電子処方箋の応需に対応していますのでご利用ください。

ジェネリック医薬品について

当院はジェネリック医薬品使用を推進しております。ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に発売されるお薬で、新薬と同じ成分で製造された医薬品です。新薬の開発にかかる時間や開発費が必要ないため価格が安くなるほか、苦みを和らげる、水なしで飲めるといった工夫がされている製品もあります。ジェネリック医薬品を使用することで、医療費を減らすことができます。
医薬品の名称を一般名(有効成分の名称)で記載して処方することを一般名処方といいます。一般名処方では、有効成分が同じであれば、患者さんの要望に沿った形で先発医薬品でもジェネリック医薬品でも選ぶことができます。ご不明な点がありましたら、医師、薬剤師にご相談ください。

バイオシミラーとは

微生物などの生物の力を利用して作られる、タンパク質を有効成分(治療効果がある成分)とする新しい薬のことを「バイオ医薬品」といい、糖尿病の治療に使われるインスリンや、がんの治療に使われる抗体医薬品などさまざまな種類のお薬が製造され、使用されています。バイオシミラーとは、バイオ医薬品の特許が切れた後に発売され、バイオ医薬品と同じように使うことができる薬のことをいいます。
特許が切れた後に発売される「ジェネリック医薬品(有効成分が新薬と全く同じ医薬品)」と似ていますが、バイオシミラーは複雑なタンパク質を有効成分とするので、全く同じものを作ることが困難です。そのためバイオシミラーは、多くの試験を行って構造にわずかな違いがあっても、有効性や安全性が同等であることを確認しています。
バイオシミラーもジェネリック医薬品同様、新薬に比べ価格が抑えられているため、患者さんやご家族の負担軽減につながることが期待されています。

注射払い出し

入院患者さんに使う注射薬は、処方せんに基づいて、患者さんごと、一施用ごとにセット(取り揃え)を行い、病棟へ払い出しを行っています。
注射薬セットの際は、注射調剤・鑑査システム(iPZS)を用い、一薬品ごとにバーコードでチェックを行い、払い出しミスを限りなくゼロに近づけています。この注射調剤・鑑査システム(iPZS)は、各病棟にも導入しており、薬剤師不在時に看護師による注射薬取り揃えの際の安全対策としても導入を行いました。
また、注射調剤・鑑査システム(iPZS)を在庫管理システムと連動させることで、看護師による薬品請求の自動化、自動発注などの在庫管理の効率化も行っています。

注射調剤・鑑査システム(iPZS)の運用

薬剤師の立場から-注射調剤・鑑査システム(iPZS)導入について-
看護師の立場から-注射調剤・鑑査システム(iPZS)導入について-

動画提供:株式会社ソルブ

TPN(中心静脈栄養輸液)の調製

無菌室でクリーンベンチを用い、清潔な環境で高度医療をサポートする種々の特殊製剤や高カロリーの点滴(輸液)を調製しています。

抗がん剤の調製

無菌室で安全キャビネットを用いて行っています。また、細胞毒性を有する薬剤については、閉鎖式器具を用いることで調製時および投与時の環境汚染や職員、患者さん・ご家族の暴露対策に努めています。調製の際にはレジメンといわれる計画書に基づき抗がん剤の投与量、スケジュール、臨床検査値などを確認し適正投与に努めています。

薬剤管理指導業務(服薬指導)

入院患者さんの薬剤の使用歴や持参薬、副作用歴、アレルギー歴等を確認します。そのうえで患者さんのベッドサイドに直接出向き、使用する薬剤について、効果や飲み方、注射薬や吸入薬の使用方法、注意事項等を説明し、安全な薬剤の使用ができるよう活動しています。また、副作用などのモニタリングも行い、医師への処方提案や患者さんからの相談対応も行っています。質問や相談にもお答えしていますので、お気軽にご相談ください。
 各病棟に病棟担当薬剤師を配置し、入院患者さんに対する薬剤管理指導業務を通して、医薬品の適正使用やリスクマネージメント等、薬剤師ならではの視点で治療に貢献しています。

持参薬管理

患者さんに処方された薬を入院中も安全に使用していただけるよう、入院時に薬剤師が薬の鑑別を行っています。現在使用中の薬がある場合は入院時にお薬手帳と一緒にお持ちください。
また、手術・検査を控えている患者さんに術前中止薬の説明も行っております。安全かつ安心して手術・検査が行えるように、外来時に現在使用している処方薬の確認はもちろん、市販薬・サプリメントの使用についても聞き取りをしています。処方薬に限らず、どんな薬でもご相談ください。

DI業務(医薬品情報管理)

医薬品が適正に使用されるよう、医師・看護師等の院内スタッフ、そして患者さんに医薬品情報を提供しています。
また、医薬品を適正に使用していたにもかかわらず、予期せぬ副作用が起こってしまった時の救済制度の窓口業務も担当しています。

日々更新される医薬品情報を効率的に取り扱うため、長野県立病院機構のすべての病院の薬剤部では「スマートDI室」Ai-PHARMAを導入しました。共通のシステムを使用することで得意分野の違う病院間で情報を共有・連携でき、日々の業務に活用しています。

がん薬物療法(化学療法)について

当院で行われているがん薬物療法(化学療法)は、がん化学療法審査委員会で承認を行っています。承認されたがん薬物療法(化学療法)は、プロトコル(投与量、投与方法、スケジュールなど)に従い、レジメン※セットを作成し行われます。このレジメンセットは、患者さんの身長、体重、体表面積等から投与量を自動計算するようになっており、また副作用対策などの支持療法薬を組み込むことで適正な治療を提供しています。
薬剤師は、このレジメンセット作成などの管理に加え、レジメン鑑査(投与量や投与間隔、臨床検査値など)、抗がん剤調製、患者さん・ご家族への説明、副作用の確認、支持療法の立案など、薬の専門職として関わっています。

※レジメン:薬物療法を行う上で、薬剤の投与量や投与方法、治療スケジュールを明記した治療計画のことをいいます。治療計画は、がんの種類や治療法ごとに作成し、患者さんの状態に応じたレジメンが選択され治療が行われます。

当院で行われているレジメンを公開します。

チーム医療への関わり

当院では、複数の医療専門職がそれぞれの職能を活かし、他職種チームとして患者さんのより良い治療とQOLの維持・向上をサポートします。薬剤師は薬剤選択をはじめ、投与量や投与方法、投与期間などの処方提案、さらには、薬剤の取り扱いについて他の職種にアドバイスをしたり、副作用の発現状況や有効性の情報を共有したりと、薬の専門家として病院スタッフと密に連携を取りながら、チーム医療に参画しています。

緩和ケアチーム

薬物療法の専門職として、医療用麻薬など症状緩和に用いる薬剤の詳しい情報を多職種チームで共有し、医師・看護師等と協議をしながらチーム協働の緩和薬物療法を進めています。また、早期(診断時)からの緩和ケアを提供できるよう、多職種チームで患者さんの情報を共有するよう努めています。
EBM(医学的根拠に基づいた治療)はもちろんですが、これに加えて患者さん個々の状態や希望に添った生活が行えるよう、趣味などの患者さんの生活についても良く聴き、寄り添うように心掛けています。

退院支援チーム

月に1回担当者が集まり、退院支援業務の現状と問題点等を話し合うことで、より良い退院支援を行えるよう活動しています。この中で薬剤師は、看護師や地域の介護職員等が吸い上げた要望に対して、退院時のお薬説明など薬剤師としてどう関わることができるのかを共有しています。また、継続した薬剤師のケアを受けることができるように、退院時共有シート等を用いて保険薬局と連携しています。
薬の情報は、患者さんの退院後の療養生活を支える大切な情報です。この情報が、円滑に患者さん本人や、家族、医療・介護・福祉スタッフに伝わることを目指して、今後も活動していきます。

感染対策チーム(ICT)

感染対策に関する職員への指導や教育、院内の環境整備、抗菌薬の適正使用等を行い、他の職種と共に感染から患者さん・ご家族・スタッフの身を守るために活動しています。

抗菌薬適正使用支援チーム(AST)

 抗菌薬の不適切な使用や漫然とした長期投与によって今ある抗菌薬が将来的に効かなくなる可能性があります。ASTは長きにわたって感染症治療を行えるように抗菌薬の使用を適切に管理・支援しています。

栄養サポートチーム(NST)

毎週1回医師、管理栄養士、看護師、薬剤師、その他医療スタッフを交え、チーム医療の一環として活動しています。高齢者の多い当院では様々な要因で低栄養状態となる患者さんは多く見られます。栄養サポートが必要な患者さんに対して、食事量の低下を促している原因薬物はないか、現在の様態に対しての栄養のアセスメントは適正かなどの評価を行っています。適切な栄養管理、薬剤管理を通じて栄養状態を改善させ、治療効果の向上、褥瘡の改善、合併症予防につなげています。

認知症ケアチーム

高齢者や認知症患者さんが入院することにより生じる不安や混乱などの苦痛を最小限に抑え、安全に医療が受けられるよう、また、認知症患者さんに対する職員の知識と理解を深めるよう、医師、看護師、介護士、薬剤師、作業療法士等で構成されるチームで活動しています。
薬剤師は、認知機能低下を来たす薬剤の使用状況の把握や、お薬の減量、使用方法について提案を行っています。また、認知症、せん妄による転倒転落事故防止対策のため、医療安全管理室とも連携しています。

褥瘡対策チーム

当院では高齢患者さんが非常に多く、褥瘡(床ずれ)が発生した状態で入院される方も多くいます。褥瘡対策チームでは、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、リハビリスタッフ等の他職種で連携し、委員会や褥瘡回診を通して、発生要因の探索やケア方法の共有などを行っています。
褥瘡発生の原因は様々ですが、適切に薬剤が使用されないことで誘発することや、治癒が遅くなることがあるため、チームの一員としてリスクの確認や外用薬の管理など、より良い治療に努めています。

糖尿病サポートチーム

糖尿病サポートチームは「糖尿病患者・家族が、病気や治療についての正しい知識を身につけられるようサポートする」ことを目的に、医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・臨床検査技師・事務職員で構成されたチームです。糖尿病治療では、患者さん自身が病気を理解し、日常生活の中で正しい知識を持って自己管理を行うことが大切となります。年に数回ほど患者さんへ向けた糖尿病教室や糖尿病講演会を開催し、食事・運動・薬物療法等についてそれぞれの専門性を活かした情報提供を行っています。

地域とのかかわり(巡回診療・森林セラピー)

当院では近くに診療所がなく交通手段のない高齢者が定期的に受診できるように、無医地区巡回診療を実施し、遠距離のため通院が困難な患者さんの受診の機会を確保しています。木曽病院では令和5年9月より、巡回診療においてオンラインでの診療を試行し、医師不足や高齢化が進む地域の医療の将来を見据え、持続的な医療の提供に努めています。巡回診療には薬剤師も同行し、薬の説明や管理を行っています。医師の勤務体制が見直されていく中でも、住む場所に関わらず十分な治療を受けることができるよう、薬の観点から患者さんへのより良い医療提供をサポートしています。
また当院では平成18年度より、上松町にある赤沢自然休養林(森林セラピー基地)と提携し森林セラピー、「森のお医者さん」健康相談を行っており薬剤師も同行しています。
現在は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い中止されておりますが、今後の予定については当院の森林セラピーのページをご確認ください。

森林セラピー

地域薬剤師会との連携

患者さんが地域社会の中で、その人らしい暮らしを送っていただくために、地域薬剤師会と連携し、患者さんの視点に立った安全・安心で質の高い薬物療法が受けられるよう取り組んでいます。薬剤適正使用のためにお薬手帳を積極的に活用し、特に支援が必要な患者さんには薬剤管理サマリーを用いて保険薬局に情報提供を行っています。
木曽薬師会と様々な研修会を行い、研修会を通じ、顔が見える関係づくりや情報交換を行うことで、病院と薬局が協働して患者さんのケアを行うよう努めています。
木曽地域だけでなく、松本薬剤師会の「中信がん薬薬連携」にも参加し、中信地区の病院・保険薬局薬剤師とも連携をしています。

地域薬局の皆さまへ

  • 疑義照会は、処方医へ直接行ってください。
  • 疑義照会の結果、処方変更になる場合は「疑義照会記録票」により当院薬剤部あて情報提供をお願いします。
  • 残薬調整の場合は、服薬状況の聞き取りを行い、患者への指導内容について当院あてに情報共有をお願いします。処方変更等の提案もありましたらご記入ください。

トレーシングレポートについて

患者さんから得た情報(アドヒアランスや副作用等)を処方医にフィードバックするためのレポートです。
様式は特に定めておりません(任意の様式で構いません)。必要事項を記入し、FAXで当院薬剤部あてご提出ください。
また、がん化学療法に関する情報共有等については、がん化学療法トレーシングレポート(情報共有シート)を用いてください。
FAX 0264-22-3594